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2011年 04月 27日
3月11日以来、現在と未来のことを考えていました。
待っていてくださった方々、長くお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。 オープン2年目にしてこういう事態が起こり、初めのうちは私たちも混乱していましたが、 それがやっと少し落ち着き、これからどうするべきかずーっと考えていました。 そして、一度パン屋の看板を降ろそう、という結論に至りました。 安心・安全なもの、からだにいいものを提供したいと思い、始めたパン屋です。 小麦の生産地が放射能拡散マップで色がついていく様子は本当にショックでした。 良心的な栽培方法を続けてこられた農家の方たちの気持ちはどれほどだったでしょう。 胸が痛くなります。 私たちはそういう方たちが育ててくれたものを頼ってパンを焼いていました。 安全性が揺らいだ地域で作付けができなくなるということは、 イコール私たちもパンが焼けないということなります。根底が揺らぎ、 自分たちの夢や理想を追うだけでは不十分だったことを思い知らされました。 被災した東北地方は日本の自給率を上げていた豊かな土地でした。 このままでは自給率はもっと下がるでしょう。 私たちは今から農業を学ぼうと思います。 自ら小麦やお米、野菜をつくれるようになろうと思います。 半農半パン屋みたいな生活スタイルを目指そうと思います。 偶然にも地震の起こる2日前に、上関原発の工事を止めさせるために 現地に行った友人たちと、那須から何ができるか話し合っていました。 脱・原発。脱・石油。そして脱・過剰電力な世の中がつくれたらいいなぁ、と。 今回のことでその気持ちはますます強くなりました。 そのためにも、まず個人の生活スタイルの見直しをしたいと思います。 それが長い目で見たときにほんとうの支援になるように。 持続可能な循環型の社会にしたかったら、まず自分たちの暮らし方を そういうものにしていくことが大事だと思いました。 ほんとうに豊かで幸せなことは、 モノやお金をたくさん持って、より多くのものを消費することではなく、 本物のおいしいものを安心して愛する人たちとゆっくり味わうことに 象徴されるようなことだと思うのです。 未来そのものである子どもたちにも伝えたいのはそんな価値観です。 パンを買いに来てくださった方、応援してくださった方に心から感謝の気持ちをささげます。 ほんとうに、ありがとうございました。 期待していただいた分、閉店することにはとても迷いがありました。 なんとかして続けることはできないか何度も考えました。 けれど、原料への不安、子どもへの影響を考えると、不安を抱えたまま 現状のカタチを維持することよりも、未来に賭けようという気持ちに至りました。 こうなってみると以前から描いていた「酵母も育てているんだから、いつか小麦も育てて、 薪窯もつくって、ぜーんぶ自然の力を借りてパンを焼いてみたいね!」と夢見ていたことが、 遠い将来のことでなく、案外、早く実現するのかも、ということに気づきました。 だから、勇気を持って次に進もうと思います。 未来に向かって、ローカルな、オーガニックな、種を蒔いていきたいと思います。 そしてパン屋を再開できたときには真っ先にみなさんにお届けしたいと願っています。 ポスト3.11が、それ以前よりも心地よい世の中になることを祈ってー。
by brown_mountain
| 2011-04-27 10:49
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